【海外事例】日本に先駆けて電力自由化したアメリカの成功と失敗


 アメリカでは様々な制度が州ごとに分かれているため、それぞれの州が独自に電力自由化を行うことになります。
 これを行う事は価格を引き下げる上で非常に効果的なことだと考えられていますが、生活必需品である電力はその価格変動が社会生活に様々な影響をもたらすものです。また場合によっては停電等のトラブルにより生活に大きな影響を与えてしまうことも少なくありません。
 電力自由化は電力会社に大きなコスト増大をもたらす要因となってしまったほか、不要な競争を生んでしまう危険を持っているのです。





アメリカの電力自由化

 アメリカでは電力自由化は古くから行われており、それぞれの州ごとに独自の判断で行うことができるのが特徴ですが、その際に細かなルールを決めておかないために競争に陥ってしまい様々な問題点を生じてしまったのです。そのため電力自由化は単に価格を引き下げるだけでなく、その供給性を維持するための様々な施策を考慮して行わなければならないことが広く知られるようになりました。
 ここで挙げるのは代表的な例ですが、失敗はビジネスの事だけを考えた結果であると考えることもできます。成功の場合には電力の公共性を十分に理解した上で、問題点に対する様々な施策を維持しながら価格の引き下げに挑戦した例であり、非常に成功したと伝えられているのです。


カリフォルニア州での失敗例

 カリフォルニア州では早くから電力の価格が高いと叫ばれており、また大手電力会社がその供給を独占していると言う事態がありました。そのため価格が高いと言うことが問題点であり、カリフォルニア州は自由化に踏み切ったのですが、その際に詳細な取り決めを行っていなかったため、停電などの安く電力を供給することができる会社が大量に生まれ、大手電力会社を凌駕していったのです。
 電力の価格が安いのは消費者にとっては非常に嬉しいことですが、機動力を失った大手電力会社が次々と発電を止めてしまったため、その供給体制が不安定で維持できないことと、天然ガスの出現により燃料の需要の緊急性が薄まってきたことなども相まって結果的にはカリフォルニア州内の電力会社が倒産する形となってしまったのです。"


アメリカ北東部での大停電

 アメリカ北東部の大停電は当時の社会生活に大きな影響を及ぼしたものとして、多くのアメリカ人に記録されています。しかしその原因は電力会社の供給力の低下にあり、強引に自由化を推し進めたことが大きな要因となっているのです。大手の電力会社が発電を停止したことで、電力の生産量が不安定となってしまったため、電力の需要に供給がついていかなかったことが原因です。
 また電力を供給するのが中小の電力会社であったため、設備の問題もあってその復旧が非常に遅れました。そのために長時間様々な問題が生じており、非常に厳しいものとなったのです。電力供給においてはその供給安定性が非常に重要であることから、これも重大な問題であると考えられるものとなっています。非常に効果的な方法で価格の引き下げを行うことができているのが特徴です。


テキサス州での成功例

 テキサス州ではカリフォルニア州での失敗を踏まえ、公共性と供給性を重視しながら電力自由化を行うことを重視し、様々な施策を打ち出しました。特に発電と送電を分離し、それぞれに適切な認可を与えることで電力に関わる業務を行うことができるようにしたのです。
 またテキサス州では大手電力会社は競争に入るために届け出なしに価格を変えることはできないなどのルールが設けられ、現場で不用意な電力の争奪戦を行うことがないように配慮されている点が特徴です。重要な電力は主要電力会社がいつでも供給できる体制を整えるなどの条件も付けられており、非常に効果的な手法で価格の引き下げを行うことができているのが特徴となっていることから、テキサス州では供給に関する不安定さをなくし、安心して利用できるものとなっているのです。